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コロナにかかりました



 家族が体調を崩し熱を出した。ということはこのご時世、理由は大概コロナなので、私も覚悟していたら案の定私も熱が出た。葛根湯でも飲んでいれば治る程度の軽い風邪症状だったが、発熱に進んでしまうところがコロナの怖さだ。

 熱は二日半で収まった。ほとんど37度台で決して高熱でもなく、つらくもなかった。喉の痛みは二日目、三日目にはあったがそれもすぐに治っていった。

 食事は備蓄品で間に合ったが、やはり野菜とタンパク質が圧倒的に不足気味。1週間以内のおこもりなら栄養の偏りもなんとか我慢できるが、これが長期にわたる被災地での食事だったなら大問題。ずっとパンとかおにぎりしか支給されないのなら不満爆発だ。行政に毎日でも大量の豚汁を焚き出せと要求してしまうかもしれない。

 体調はさほど悪化していないのに部屋から出られないのはつらい。トイレ以外は部屋から出ないようにし、テレビを見たりタブレットを見たり、本を読んだりのゴロゴロ生活。散歩、買い物、ジムにも行けないし、生活のペースがガタガタだ。私の折角の筋肉はどこに行ってしまうのか。

 そのうち暇をもてあますようになり、さてどうするとなり、そういえば「青春を記す」という私小説めいたものを書いているのだが、それをスマホで書き続けることにした。ちょうど恋人とのラブがエロエロに変化しつつある時期で非常にセンシティブな部分を書いていて、こもっている部屋の中でこんなことがあった、こんなことを言っていたと思い出そうとしていると、余計な妄想まで加わってきて、エロエロ度が高まっていきそうになり、あぶねえ、と自主規制をする。

 四日目にはもう熱も何もなく、喉の痛みも治まり、ときどき痰の絡まった咳をゴホゴホ、オエオエするだけである。まだウィルスを出しているかもしれないので気が抜けない。しかしもうたまらず庭で太極拳はするし、YOUTUBEで筋トレ動画を見て運動したり、人気のない道を散歩したりして、人と会わなけりゃいいんでしょの論理で、やりたい放題である。

 あと四日間は自宅療養しなくてはならないのだが、案外全然つらくない。家事もさぼれて、このくらいの自由時間がちょうどいい。執筆活動も進み、むしろ歓迎の日々だ。


  夫にはうつさないように最大限気を使ってはいたのだが、やはり喉がイガイガすると言い出し、私がすっかり治った頃、夫も熱が出始めた。

 夫も軽く済んで全然元気でいたようだったが、仕事は1週間休まなければならなかった。部屋に籠って韓流ドラマやNetflixばかり見ていたようだ。

 うつしてすまなかった。きっと部屋に籠る前にはもううつしていたのだろう。まあ、お互いにコロナの免疫ができてよかった。


 熱の出初めには、発熱外来にも行ったが、非常に厳重なビニールカーテンの向こうで、医師は椅子にも座らず患者も立ったままで、今後の事や薬のことをマニュアル通りに伝えられ、薬局でクスリを貰って、はい、終わりであった。

 PCR検査は一万八千円ほどかかった。薬は、七~八種類のいろいろな症状に対応するものが渡された。これは無料だった。薬局の中から追い出されドアの外で対応された。雨が降っていたのに。しかしそれもやむをえまい。

 考えてみれば医療関係者は皆、うつってしまいそうでひやひやしているだろう。医師は案外ビニールの中でガードされているからいい。問題は受付のナースたち、薬局の薬剤師たちである。どうしても患者と書類やお金のやり取りで、ビニール内だけの対応というわけにはいかない。

 このご時世で神経をすり減らしている医療関係者には、補助金を多く渡してあげるなどしてほしいと思った。






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