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連合運動会

 「連合運動会」とは川崎市全市の小学校6年生が等々力競技場に一堂に会するイベントで、昭和44年から平成17年にかけて、毎年秋に行われていた。選抜された選手はそれぞれ千メートル走や高跳び、幅跳びなどを競い、それ以外の子どもたちは音楽に合わせて簡単なダンスを踊ったりする

 我が子が小学6年生だった頃、私も保護者として午後から見に行った。その他大勢のダンス組なので、応援というわけでもなく漫然と広大な競技場を見回していた。とにかくどこを見ても小学生だらけ。人数が半端ではない。こうも多くの子どもたちを見ていると、自分の子がどうとか、誰かと比べてどうとかという意識も超越してくる。

 白い体操着に身を包んだ小さな人たち。ここにいる一人一人が一生懸命に幸福になりたがっている。そう思うと、涙までにじんでくる。大人になる前のひと時の楽園に遊ぶ時間は意外に短く、もう既に小さな社会にもまれているわけだが。

 夕闇が迫るまで競技場を埋め尽くす数万人の子どもたちを見ていた。今となっては過ぎ去った日の感傷である。あの時の、まだ人生浅く無邪気だった小学生たち。みんな今は、どこへ散らばっていっただろう。

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