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校正の仕事



 ここ20年ばかり、年に3~4か月、情報誌の校正の仕事をしている。既に出来上がっている本の毎年の改訂版作成のため、情報に変化が無いか確認する仕事だ。そんなに難しいことはしていないのだが、取材先を100件以上受け持っているので、電話したりFAXしたり、メールしたりで一時大変忙しくなる。

 私が送ったFAXの返信が大量に事務所に押し寄せたりすると、事務所のスタッフさんが仕事に差し支えると言ってちょっと嫌な顔をするので、私も肩身が狭い。

 校正の指示をレイアウト担当の人に送る時も、ワードのテキストでいちいち文章に起こして、何ページの上から何行目の、何という数字を何と訂正、とか書かなくてはならないので、面倒臭い。

 アナログなやり方ではもう駄目かなと思い始めていた。最新技術を持つ若い人に、もうこの仕事を譲るべき時が来たのかもしれない、老害はもう引退だあ、と思っていたが、レイアウト担当の人が、共有ファイルでの校正を新しく提案してくれた。

 パソコンに取り込んだ冊子のPDF画面を見て、それぞれ自分の都合のいい時に校正のチェックを入れられる仕組みだ。皆がそれぞれ同じ画面にチェックを入れられる。それで大分助かった。いちいちワードで細かくテキストに起こさなくていい分とても便利だ。他の人の校正も同時に見れるので、補正しあうこともできる。

 紙はもう使わない時代になっていくのだろう。コマーシャルでも事務仕事で紙を使うのがいかに時代遅れかを頻繁に訴えてくる。赤ペンも付箋紙もいらなくなっていく。デジタルでの仕事は確かにパソコン一台あれば全部その中で仕事が済んでしまう。

 皆の協力もあって、私もなんとかもうちょっとこのデジタル社会に食い下がって行けそうだ。だんだん情弱に退歩していく自分を諫めつつ、あと少し頑張ってみよう。

「でも、紙で校正するのも好きなんですけどねえ」と皆で言い合ってはいるのだが。


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