読了時間: 10分
第1詩集 無限逍遥(2)(出版詩集)
主に大学時代の作品 キャンパス風景 夥しい邂逅は 煩雑な日常を私の内に蘇らせた 先走る言葉の群れは 私の唇を封じ 私は穏やかなほほえみの影に 寡黙な苛立ちを隠しきれずにいた 早生の植物のように 光を採り急いで 衰えやすい茎を伸ばす そんな風ではなかったか...
読了時間: 13分
第1詩集 無限逍遥 (出版詩集)
主に高校時代~大学一年の作品 服従 青い波流よ 渺々たる普天の下で 放たれた浮標(ブイ)の 胸せりあげる嘔吐にささやく 終わりなき波音よ 空白な静穏の心情を揺り動かす 愛のない子守唄にめまいして 私は冷たい岩に寄りかかる 白い飛沫は空に迷い 乱調の流紋は死の文字を描く...
読了時間: 10分
第16詩集 おでんとらっかせい(2)
回復力 大事なことは 回復力だ あるべき状態に戻ろうとする 強くしなやかな力だ しおれた花が 水を吸ってぴんと甦るように 高熱に寝込んだ子どもが いたずらな目をして体を起こすように 吹き荒れた嵐が 冴え冴えとした青空にとって代わるように すべては回復の過程だと信じたい...
読了時間: 12分
第16詩集 おでんとらっかせい
ある散歩 道を歩いていても つい創作のネタを探している自分に 可笑しくなる 特に感動していることもないのに それはもう習慣となってしまった 散歩に伴う条件反射的な行動パターンだ 『犬にフンをさせるな』 しかし犬のフンはとどめられるものではなく...
読了時間: 4分
第15詩集 浮き草の研究 ひまわりの観察(2)
思い通り 今から半年くらいかけて 愉快で滑稽な詩を 十編ぐらい書けたらいいなと思う しかめ面をされてもいい 何の褒め言葉もなくていい そもそも誰と比べようというのか 役にもたたない言葉を書き連ねることで だれの思い通りにもならず 自分の思い通りになる...
読了時間: 8分
第15詩集 浮き草の研究 ひまわりの観察
あいさつ 文例そのままの 季節のあいさつなら はじめからいらない 雲は鳥の骨格のようだった 風は縞模様の温度差だった 使いものになりそうにない いくつかの詩句を ファイル帳から取り除きながら それでもその一字一句は わたしの細胞の一片だったと思う どれだけ剥ぎ取れるだろう...
読了時間: 8分
第13詩集 モモンガの空
実感とは 「うんち」とか「おしっこ」とか 「おちんちん」とか「おなら」とか 無性に書いてみたくなる時がある 「愛」とか[幸福」なんていう きれいそうな言葉を使うより よほどはっきりした実感があるだろう? もっと体にキリキリくるもの もっと体をポカポカさせるもの たとえば...
読了時間: 13分
第12詩集 学校までの道順
言葉よりも面白い 絶望については とうの昔に語り飽きた気がするけれど 希望については この先も語りやんではいけない気がする 言葉よりも面白いものを探して その都度軽い慰めも見い出してきた 希望を語るためには とりあえず言葉が必要だろうが 希望を行うというなら...
読了時間: 7分
第11詩集 バッタの意識(2)
答え 人の心については 本当のところはよくわからない 沈みがちな場面には できるだけ下品で馬鹿な話題を 派手に繰り広げるだけだ それで笑えれば 何か悪いものが一つ消えた気がするし 一つ役目を果たしたようにも思える ここでの空間を広げてあげたい 笑って吐いた息そのままに...
読了時間: 10分
第11詩集 バッタの意識
台風が抜けていったら 傘を打つ雨風と戦いながら 急ぎ足で家へと向かっていた 言葉を使い尽くすということのない人の 果てしないおしゃべりに付き合って 無駄な相槌をつきすぎた しゃべることは得意ではない 聞くことならと思っていたけれど 時折耳はまるで不誠実になる...