読了時間: 7分
第9詩集 太陽の絵本(2)
星座の夜 夢の中で君を起こし 星座の夜へと連れ出そう 君が隕石のように滑り落ちたなら 銀河の星もいっせいに笑い出すだろう 果てしなく遠い駅まで てくてくと歩いていこう いつか笑ってやろう思って撮った 水ぼうそうの時の顔写真 まだ君の鼻の頭と眉間のあたりに...
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第9詩集 太陽の絵本
通信 ワープロの画面を真っ黒にしたまま もう1時間も沈黙している メダカの入った水槽の濾過器が さっきからずっとゴポゴポとうるさい 雨が三日降り続けば たちまち家の中が洗濯物でうっとうしくなる 何も書けないということだって 立派に書く材料となり得る 反故にした感熱紙の裏側を...
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第8詩集 生まれる前 ママのおへそから外を見ていた(2)
一日 「いってきます」という声で 今日一日を予測し 「ただいま」という声で 今日一日を判断する ランドセルの投げ捨て方なんかを見てもわかる そりゃいいことばかりじゃないだろうさ まあおひとつおやつのドーナツでもどうぞ あとは君が何かを言い出すまで待っている...
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第8詩集 生まれる前 ママのおへそから外を見ていた
春風に このみるみると変わりゆく空気 銀色の空き缶が カラカラとまわりあう 春風に とうとう雪は降らなかった 窓をあけ ベランダに座り込んだ少女たちは 知ってるだけの ありったけの歌を歌い続ける 桜色の羽を 少しずつ開きながら...