第52集 強く健やかになること
- 3月21日
- 読了時間: 10分
更新日:1 日前
赤くてかゆい②
去年の11月ごろから
両方の目の周りが赤くなって
かゆくもなって
何かのアレルギーなのかなと思っていたが
2月になっても治らないので
皮膚科に行って塗り薬をもらった
アトピー性皮膚炎のかゆみ止めで
ステロイドは入っていないそうだ
目の周りが赤いと
やさぐれて見えるし
荒んで見える
殴られた人のように見える
手や足だったら少しぐらい赤くたって
全然かまわないのだが
顔だから
外出時に困る
メイクを厚めにすることになる
厚化粧と思われたとしても
DV被害者かと気の毒がられて
まわりを不穏な気持ちにさせるよりはいい
2月も終わりになってきた今
だいぶ良くなってきているような気がする
顔のしもやけかとかも思い
冬になると使う入浴剤のせいかとかも思い
原因はさっぱりわからないが
よくなる傾向にあるようだから
もう気にするのはやめて
鏡を見過ぎるのもやめようと思う
そうは言うものの
花粉が大量に出回る時期になり
黄砂もそのうち来る
顔面注意報はまだまだ消えない
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太ももの筋肉
ジムのトレーナーが
40歳ぐらいの女性に
座って足を上げ下げするマシンの前で
「このマシンはあまりやらないほうがいい」
と言っている
なぜに?とそばでよくよく盗み聞けば
太ももは筋肉がつきやすいから
男性のように太くなってしまう
ということだった
私だったら
太くなってもいいから
筋肉つけたいけどな!
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均されていく
山の上の大学の近くに住む知り合いが
大学の事務の仕事を十数年間やって
ちょっとした荷物運びや伝言などの仕事や
教授たちや生徒たちとの交流が
とても楽しかったと言っていた
多分私が姑の介護で
下の世話に明け暮れていた日々と重なる
私が姑の命と対峙し
不満をこらえながら過ごした日々を
彼女は生き生きと楽しく過ごしていたんだなと思うと
それは良かったですねと言う私の言葉も
どこか空々しくなる
私の母も生きていた頃
「介護なんてよくやったね
私なんか絶対できない」と常々言っていたが
できるできないの問題じゃない
やらないといけなかったのだ
同じ日々を
人はそれぞれに生きる
並行していろいろな生き方がある
不本意な流れに巻き込まれて
くすぶりながら生きるしかない時もある
つらい経験は人生の糧になる
などとは誰にも言われたくない
いつもいつも明るく楽しく過ごせたほうが
どれだけよかったことか
しかしまた
負の感情を引きずるのも愚かなことだ
人生は
いつのまにか均されていく
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今年の花見
桜の季節も
静かに過ぎていく
今年は雨の日が多かった
晴れた日曜日
二か領用水沿いでは桜まつりをやっていて
子どもたちが踊ったり演奏したりして賑わっていた
この日だけは桜日和だった
また別の日に
津田山の霊園の桜を経由してから
枡形山の桜を見に行こうということになり
夫はピクニック気分で朝からうきうき
ポット2本に熱湯と冷たいお茶を入れ
カップ麺とコンビニのおにぎりやサンドイッチをもって
(私はゆで卵だけつくって)
車ででかけた
枡形山の桜が見える場所にシートを敷いて
いざ持ってきたものを食べようとしたところ
なんとポットのお湯やお茶がけっこうこぼれてしまっている
一緒にビニール袋に入れていたおにぎりやサンドイッチが
びしょびしょ
だいぶ少なくなってしまったお湯で
カップ麺をやっとふやかして
お茶がしたたるサンドイッチを絞りながら食べて
ご飯がぼろぼろほぐれてしまうおにぎりを
コーヒーカップに入れてお箸で食べて
まあ食えるからいいんじゃね?と
なんだか爆笑気味に食べたのだった
近くでは小学校新入学の子どもたち6~7人が
新しいランドセルを背負い整列し
母親たちがスマホを掲げて
賑やかにランドセル撮影会をやっている
子どもたちにタイミングよくジャンプさせたりして
見ていてたいそう可愛らしい
でもうちの子たちは
こういうの絶対参加しなかっただろうし
私もこんなママ友の仲間にはなれなかっただろうなと
そんな過ぎ去った日々への感懐も湧きあがり
まあそれはそれでそうだったんだから
今もしあの頃に戻ったって
やっぱりどうこうできるものではなかったもんねと
確信の苦笑をしながら
シートを片付けたのだった
枡形山は定番の花見どころだったが
かなり枝が落とされていたり
木が丸ごとなくなったりしていて
花見をするには
かなり寂しいことになっていた
木だって当然老いる
残念には思うまい
われとわが身の静かなる変化と引き比べて
すべて万物は同じ流れの上と考えれば
そういえば
ポットのお湯やお茶がもれた原因は
洗ってはずしておいた飲み口を
つけ忘れたせいだった
家に帰ってきてから気づいた
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花のあと
風の強い日
どこのものとも知れぬ
遠くの桜の花びらが1枚
庭先に飛んできて着地した
そういえば
あれだけの大量の花を咲かせた桜だが
掃除が大変だという話も聞かない
乾燥して小さく縮まって
たやすく風に飛ばされたり
ささいな雨で流されたり
散ったあとも面倒な世話がない
それに比べて
(と、うちのハナミズキを見る)
美しいけれど
散り始めたら絶対に掃除を要求する花
やがてばさばさと1枚ずつ散って
庭一面にしつこくこびりつく
前の道路にもこびりつく
車に轢かれると
茶色く変色して
ますますこびりつく
桜のようには
ほおっておけもしない
これもまた一つの花の様態
毎年のことだ
今から掃く気満々で
庭を眺め渡している
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陳式の練習
4月半ばに代々木で太極拳の大きめの大会がある
日本人だけでなく世界の太極拳愛好家が集まってくる
私は陳式を学びはじめてまだ1年もたっていないのだが
「一緒に大会に出て」「団体としての人数がほしいから」などと言われて
「出ます」となぜか軽い気持ちで答えてしまった
「いやまだまだ駄目ですよ」と断ればいいものを
オーダーを受けたからには精一杯がんばらねば
ということで
ここ2~3ヶ月ダッシュでかなり練習した
まだ完璧ではないかもしれないが
先輩たちを差し置いて
日が浅い私が完璧になってもまずいしな
ほどほどにできてればいいやん
などと心の中で逃げ場を作る
練習しすぎて右肩を回すと
ポキポキ音が出てやや痛い
早く大会を終わらせて肩を休ませなければ
公園でも何度も練習をした
新学期を迎えた小学生たちは
学校から早めに帰ってきて
やたら元気に鬼ごっこなどしている
公園の端っこでのそのそと太極拳をしている私は
彼らにとって
変な動きをしている変なおばさんなんだろうなあ
同じ年頃の京都の少年の事件が
連日報道されている
普通に楽し気に遊んでいる子ども達の声を背中に聞きながら
見えていないどこかにもしかして
声をあげることもできない闇もあるのだろうなどと
しばし思いを至らせて
つい心が澱んでしまいそうになる
しかし今はそれどころではない
ただ陳式に
集中するべし 集中するべし
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大会に出た
東京での太極拳の大会をなんとかこなしてきた
風邪もひかず身の回りに何の事故もなく
会場に無事に辿り着けただけで
自分的には
このミッションは80パーセントは成功しているので
最初から特に緊張もしていなかった
大勢の選手が
さまざまな技を披露しているのを見て
太極拳ってなんて広くて深いのだろうと思った
私などはオーソドックスな楊式太極拳をいくつか知っているだけだが
全く知らない太極拳、剣、扇、棍、鞭杆が次々と披露されるの見て
かっこいいものなどがあると
それってどこで学べるの? うちら辺に学べるところがないじゃん
などと残念に思った
ネットの動画で学ぶとどこか自己流になってしまう
しかし今私がここ1年学んでいる陳式太極拳も
結構特殊なものである
先生が独自に編み出したものらしく
練習のさなかにも
ここはこう変えるよ その方が見栄えがいい
などと柔軟に変化を入れてくる
結構自由だな それでいいのかと思いながら学んでいるが
そういうのも独自感があっていいのかもしれない
全然オーソドックスではない
オリジナリティーあふれる陳式
8人一緒になんとか大会で演じることができた
ずっこけて転んだりしたらやばいと思っていたが
転ばなかった
途中、「むっ!今の違ったかな?」と思う箇所もあったが
どんどん流していけたので
これはもう95パーセントの成功だと
自分に言ってあげよう
これで全体の前半部分の套路である
あと半分はこれから学んでいく
大会前に焦ってダッシュではなく
ゆっくり学べたらと思う
詳しくは
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県民の歌
私の出身の栃木県には
「県民の歌」というものがある
ふと思い出して検索してみた
音符と共に歌詞も載っていて
目でたどってみると
なんとまだメロディーを覚えている
♪~
とちの葉の 風さわやかに
晴れわたる 町よいらかよ
男体は 希望に明けて
日の光 よもにみなぎる
栃木県 われらの われらのふるさと
もうひとつ私に印象深い栃木の歌がある
私が6年生だった時に
新しく赴任してきた校長先生が作った歌で
大々的にレコードも作成して売り出していた
こちらはネット検索しても出てこなかった
歌詞はもううろ覚えだ
しかしメロディーは覚えている
♪~
とんとん とちの木 みんなの木
背比べしながら ぐん!と伸びろ
あなたもわたしも~
若々しくてハンサムな校長先生だった
社会科見学か何かで一緒のバスになったとき
校長先生自身が驚くほどの美声で歌ってくれた
皆で「わあ~ すごい」と感嘆したものだ
小学校の同窓会も1度も行われていないので
もう確認できないのだが
だれか「とちの木の歌」を覚えている人は
いないだろうか
ついでに言うと
小学校の校歌もまだ歌える
宇都宮市立泉が丘小学校
6年間過ごしただけあって
何かにつけ歌う回数も多かったのだろう
♪~
山並はるか 男体の
雄々しい姿 仰ぎ見て
手を取り学ぶ この丘は
希望燃えたつ わが母校
泉が丘よ 栄えあれ
ちなみに
中学校、高校の校歌はもう全く忘れてしまった
整列させられた列の隅っこ
この群れから抜け出すにはどうしたらいい?
そんなことをばかり
思うようになっていたから
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バレリーナの虫
近頃 庭の山椒や柚子の木に
白い小さな虫が何匹かついている
これがバレリーナのチュチュをまとっているような
ふわふわの美しい虫なのだ
「3ミリ 虫 真っ白 ふわふわ」で検索したら
アミガサハゴロモの幼虫であるという回答がでた
つつくとおどろくほどピョーンと飛ぶ
腕に飛んできて羽を広げると
ほんとうに可愛らしく美しい虫
でも植物の液を吸うし
排泄物などがすす病をひきおこすらしい
夫に「バレリーナの虫がいるよ」といい
「大量発生すると植物によくないんだって」と言うと
さっそく駆除に乗り出した。
「ちょっとぐらいなら大丈夫なんだよう」と言っても
夫は害虫に対して結構手厳しい
野菜につくイモムシ、ウリムシなど
いつもぶちぶち指でつぶしているし
「妖精を蒸し殺しにしているからな」と言って
ビニール袋に虫をためて物干し竿に引っ掛けている
「ちょっとぐらいいても大丈夫なんだよう」と私はまた言い
夫が「バレリーナ」じゃなくて
「妖精」と言ったことにちょっと笑った
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太極拳の夢
久しぶりに夢をみた
明け方の夢だったので
それははっきりと記憶に残った
私は体育館のような場所で
大勢の人と一緒に太極拳をしている
夢の中の私は
いつも自信がなくて
套路を時々忘れてうろたえている
そこへ
別の女の先生が現れて
華麗に陳式を舞い
舞い終わると
皆の感嘆の声の中
微笑みながら
すっと去っていく
その先生は
たぶん私が以前習っていた先生なのだ
思い出補正が入って
すぐには分らなかったが
あれから幾分年を取って
幾分ふくよかになった姿
私は先生に駆け寄れず
ただ離れた所から
黙って見送っただけだった
この夢をどう解くか
正直に白状すると
先生の更にグレードアップした姿を見て
濁った嫉妬の心が生じたのだ
私よりずっとうまいと思った
太極拳の大家みたいだと思った
負けたと思った
目覚めて
これは単なる夢だと
自分に確認する
先生と張り合う気持ちが
どこかに残っている
私はまだまだ生徒
この潜在意識を消せるのは
いつだろう
人々に称賛されて
気分よく目覚めるためには
現実の私も
完璧にならないといけないのだ



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