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第50 集  新しい白紙

  • kaburagi2
  • 3月11日
  • 読了時間: 4分

更新日:5 日前

梅と猫

 

 

夫と羽根木公園に行ってきた

梅は既に見頃を過ぎて

2~3割咲き残っているだけである

梅まつりも終わってしまっていて

何のお店も出ていない

 

歩いている人もまばらで

それはそれでゆっくりと散策できる

保育園や小学校低学年らしい集団が

先生に連れられて遊びに来ている

カラフルな帽子が梅の木の間に見え隠れしている

 

梅の木はたぶんだいぶ老朽化して

きつめに剪定もされていたと思う

もっと大きな木だったよねなどと

夫と言いながら歩いた

 

羽根木公園へは今までも何度か来たことがあり

梅の最盛期の賑わいも知っている

夫は以前ここの植木市で柚子の苗木を買った

家の畑に植えられたそれは

今でも毎年たくさんの実をつけている

 

羽根木公園を出たあと

目指すおそば屋さんの開店にはまだ早そうだったので

豪徳寺に向かって歩いていった

寺の周りからして歩いている外人さんが多い

境内も外人さんばかりである

英語、スペイン語、中国語などが聞こえてくる

 

招き猫が飾ってある一画は

更に外人さんでごったがえしている

猫スペースも40年前に見たときと比べて

更に10倍ぐらい拡張していて

大小の白猫たちがひしめいている

これからもっともっと増えていくのだろう

招き猫を買える事務所には行列ができていた

 

豪徳寺を出たあとおそば屋さんに向かったが

開店時間を過ぎているのに

店主が中で誰かとおしゃべりしていて

なかなかシャッターを開けてくれない

それでお店の前から電話をかけて

もうお店の前にいるんですけどと言ったら

慌てて店主がシャッターを開けにきた

 

そうしてやっとお蕎麦を食べて

お腹いっぱいで小田急線に乗り込み

今日の夫との梅見猫見散策は完了となった

​風は冷たかったが

遠くまで晴れ渡った明るい日和だった

​電車の中から真っ白な富士山が見えた



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沈丁花の花

 

 

3月に入って

遅れてきた雪を何回か重ねて

やっと沈丁花の花が咲き始めた

ふと庭の一画を見遣ると

白木蓮も蕾をふくらませている

これからはどんどん暖かくなっていくのだろう

 

その春の手前に

どうしても大きな震災があった日が

めぐってきてしまう

テレビでもひとしきり特集が続く

今年で14年目

あらためてその悲劇の大きさに

心が締め付けられる

 

どれだけの涙が

あの時から今まで流され続けてきたか

これからも流されていくのか

 

そんなことを思いながら

ほこりまみれのテレビ周りを掃除する

知らぬ間にひどい有り様だ

一日一日を

きちんと片付けていくこと

ただそれだけをしっかりと目指す

 

沈丁花の花は強い

しばらくはその形も香りも

しっかりと保たれるだろう



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五反田川の河津桜

 

 

五反田川の河津桜は

まだ咲いてはいたが

幾分盛りを過ぎ

葉っぱがちらほら交じっていた

 

ヒヨドリらしき鳥が何羽も

花のあちこちに入り込み

羽ばたいては

別の花群れに飛び込んでいく

花びらを食べてでもいるのか

甘いのだろうか

なんとはなしに騒がしい

 

ソメイヨシノももうそろそろ

蕾をわずかに膨らませて

本番の出待ちをしている

 

今見ているものだけに

思考を集中する

それが今を幸福にする極意

 

今日しか見ることのできない景色を

今日しかいない今日の私が

一生懸命見ている

 

五反田川の河津桜の下

夫に誘われて娘も一緒についてきた

娘が恥ずかしそうに写真に収まる

それだけでも

今日は唯一無二の大切な日だ

 

私も写真を撮る

桜よりも

夫や娘の姿を

スマホの画面の中に追い続けて

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ラベンダー

 

 

庭に何年か越しのラベンダーのプランターがある

 

もうすっかり関心がなくなり

水やりもいい加減になっていたのに

地味に葉っぱを増やしていき

去年やっと紫色の花が咲いた

 

その花は思ったよりくすんだ地味な紫で

北海道のラベンダー畑のように美しいものではなかった

 

花が終わると

またしても水やりがずさんになっていき

ついほったらかしにしてしまう

 

しかしこれが実に強い植物で

少しぐらい土がからからになっても

枯れたりしないのである

あの真夏の炎天下を耐えきって

冬も霜に焼けたりしないでいる

 

香りがどうこうより

生命力が強い

どんなことが起きようと

傷つきもしないでどっしりと構えている

 

たぶん土の下の根っこは

すこぶる筋骨隆々

下支えが半端ない

これから春が来て春も過ぎ

すぐに訪れる酷暑も

平気で生き延びるのだろう

 

何気にラベンダーを尊敬する

人間もこうでなくちゃ

ひとつの生きる手本として

ラベンダーをながめやる

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